帝王学の書「貞観政要」をいまさら読むブログ

上司に勧められて貞観政要を読み、色々調べたこと、考えたことをまとめるブログ

リーダーの条件 「九徳」から「十八不徳」を読む

 「徳」とは「人望」のことだというのが、企業経営者の共通認識であるらしい。人徳がない人はリーダーになれないし、部下はリーダーに人徳を期待する。その定義として有名なのが、『貞観政要』にも『近思録』にも登場する「九徳」である。

 

  1. 寛にして栗(りつ) 寛大だが締まりがある
  2. 柔にして立 柔和だが事が処理できる
  3. ゲンにして恭 真面目だが丁寧でつっけんどんでない
  4. 乱にして敬 事を収める能力があるが慎しみ深い
  5. 擾にして毅 おとなしいが内が強い
  6. 直にして温 正直、率直だが温和
  7. 簡にして廉 おおまかだがしっかりしている
  8. 剛にして塞 剛健だが内も充実
  9. 彊にして義 豪勇だが正しい

 

 七平氏は、これを逆に読む「〜するなかれ」方式を大脳生理学の見地からも勧めている。さて、避けるべきはどうなるか。

 

  1. こせこせうるさいくせに、締まりがない
  2. とげとげしいくせに、事が処理できない
  3. 不真面目なくせに尊大で、つっけんどん
  4. 事を収める能力がないくせに、態度だけは威丈高
  5. 粗暴なくせに気が弱い
  6. 率直にものを言わないくせに、内心は冷酷
  7. 何もかも干渉するくせに、全体がつかめない
  8. 見たところ弱々しく、内も空っぽ
  9. 気が小さいくせに、こそこそ悪事を働く

 

 九徳は相反する言葉の対なので、逆転させると一気に「不徳」は倍になる。リーダーはもとより、同僚にも部下にもいてほしくないタイプぞろいなのは、多分世界共通だろう。