リーダーの条件 「九徳」から「十八不徳」を読む
「徳」とは「人望」のことだというのが、企業経営者の共通認識であるらしい。人徳がない人はリーダーになれないし、部下はリーダーに人徳を期待する。その定義として有名なのが、『貞観政要』にも『近思録』にも登場する「九徳」である。
- 寛にして栗(りつ) 寛大だが締まりがある
- 柔にして立 柔和だが事が処理できる
- ゲンにして恭 真面目だが丁寧でつっけんどんでない
- 乱にして敬 事を収める能力があるが慎しみ深い
- 擾にして毅 おとなしいが内が強い
- 直にして温 正直、率直だが温和
- 簡にして廉 おおまかだがしっかりしている
- 剛にして塞 剛健だが内も充実
- 彊にして義 豪勇だが正しい
七平氏は、これを逆に読む「〜するなかれ」方式を大脳生理学の見地からも勧めている。さて、避けるべきはどうなるか。
- こせこせうるさいくせに、締まりがない
- とげとげしいくせに、事が処理できない
- 不真面目なくせに尊大で、つっけんどん
- 事を収める能力がないくせに、態度だけは威丈高
- 粗暴なくせに気が弱い
- 率直にものを言わないくせに、内心は冷酷
- 何もかも干渉するくせに、全体がつかめない
- 見たところ弱々しく、内も空っぽ
- 気が小さいくせに、こそこそ悪事を働く
九徳は相反する言葉の対なので、逆転させると一気に「不徳」は倍になる。リーダーはもとより、同僚にも部下にもいてほしくないタイプぞろいなのは、多分世界共通だろう。